「俺、人見知りだから、接客業とかありえんなー。人間関係を築くのも苦手だし。つーことで日雇いで肉体労働で暮らしていくわ。」
っていう話を、何度か聞いたことがある。
ハッキリ言うと、この考え方はよろしくないと思う。
肉体労働=あまり会話せず黙々と作業する。
日雇い=誰と出会おうと、その日限りの付き合いで終わるから楽。
みたいな考えがあるのだと思うが、実際はそんなことはない。このことを最近ひしひしと実感したので、紹介しようと思う。
先日、手持ちが心許なくなったので、日雇いバイトに応募して、倉庫整理の仕事に行った。
日雇いだからその日限りの付き合いだし、あまり会話しなくていいだろうから楽だろうきっと。と正直僕は思っていた。現実は全然違ったが。
まず、その日限りの付き合いだからこそ、監督者からの注意や指示に容赦がない。
ヤンキーがパシリを走らせる時みたいな感じの、棘のある強い言葉で言われるので、こっちは戦々恐々である。
具体例を出すと、「はよしろやコラ!」「ボケっとすんじゃねえ!」という感じである。
こういうのに免疫がないので、結構僕の心はダメージを受けた。しまいには手伝おうとしただけでブチギレられたので、もうどうにもできなくなった。
僕の甘い考えは粉微塵となった。
そして、会話は肉体労働でもたくさんある。それは、指示の確認だ。
当たり前の話だけど、指示を出されても、それを理解できないことは結構ある。
そこで聞き返さなければ、ポカをしてキレられて一巻の終わり。
怖い人たちと、結構強制的に会話をしなければいけない場面は、1時間に10回はあったと思う。
黙々とする作業なんて所詮絵空事なのかな、と考えさせられた。
何より、人間関係のリセットは、長期的に見れば非常にめんどくさいことにも気づいた。
上司や同期が最悪な相性だった場合を除けば、人間関係が一回一回リセットされることは良いことに思えてそうでもない。
大抵、最初に出会った後は、その人の人となりや思考の探り合いとなる。
人間観察をすることで、その人の考え方が読めるようになり、先回りして仕事に取り組むことができたり、共通の話題を提供して打ち解けたりできるようになる。
こういった人間関係を築いておけば、仕事は一気に楽になる。楽というか、楽しくなる。心の負担が減るのも一因だろう。
しかし、この関係を築くには、やはり時間が要る。正直、1回きりの出会いでは無理だ。
その人の人となりや思考のほんのさわりが分かり始めたあたりで大体仕事が終わり、その人との付き合いは終わる。
そしてまた別の仕事場に行って、またイチから関係を気付いて・・。
日雇いはこの連続である。
僕みたいな、関係はゆっくり深く築いていくタイプの人間には、とても相性の悪い環境である。
では、日雇いがダメで、接客業が嫌なら、もう何もできないのか。そんなことはなく、意外と接客業の方が人見知りでも楽だと思う。
僕は1年半ほど、とあるショップで店員のバイトをしていたことがある。
接客業というバイトを選ぶことで、人見知りを叩き直そうという魂胆だったのだが、今思えば肉体労働よりもはるかに楽だった。
そして、楽しかった。
人見知りの僕が言うのでなんか変に聞こえるかもしれないが、肉体労働より接客業の方がよっぽど良い。
飲食業はよくわからないけど、まず思ったほど接客する場面は多くない。
レジ打ちを除けば、1日に2~3回くらいである。ちなみに僕のシフトは7時間勤務だった。
そして、社員の方や、パートの方と仲良くなれば、なんか自分の居場所ができたような気がして、すごく居心地が良かった。
僕は時間さえかければ、ゆっくりと打ち解けていくタイプなのもあるけど、日に日に心理的負担も、仕事の負担も減っていった。
人見知りだけど接客するという苦手意識を考慮に入れても、やっぱり接客業の方が、日雇いより負担が少ないと思う。
重ねて言うが、飲食業では無かったので、決して一概には言えないけれど。
もし最初に挙げたように、「自分は人見知りだから、日雇いの肉体労働でいこう」と、別段深い理由もなく思っている人がおられたら・・・
どうかもう一度考えてみてほしいと思う。
やっぱり、イメージと現実では、結構違うものである。
実際に働いてみて、この意を強くした次第である。
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