僕はネガティブだけど、それなりに充実した人生を生きたいと思う。

「ネガティブ」で片づけず、自分の観察を続けたい。

重度の人見知りが合コンに行くとこうなる。

「異性との出会いが欲しい・・・。」

 

これは人見知りであろうがなかろうが、若さと健全な欲さえあれば、老若男女が抱く、ごく自然な考えだと思う。

 

その出会いの方法として、最初に頭に浮かんでくるのが、「合コン」と言われるものだと思う。

 

数名の男女が席を同じくして、酒かなんかを飲みながら、和気藹々とした空気の中、簡単な自己紹介から武勇伝まで語り合い親交を深める・・・。

 

と、イメージとしてはこんなところだろうか。実のところ僕もこんなイメージを持っていた。

 

ほんの数年前まで。

 

重度の人見知りが合コンに行くとどうなるか。その顛末をここに記す。

  

 

はじまり。

 

数年前の冬。

 

クリスマスが近づき、大学生活も終わりが見え始め、かつ周りの人見知りフレンドに彼女ができ始めたという事実もあり、僕は正直焦っていた。

 

「このまま俺は彼女いないまま、人生の夏休みを終えるのか?」と。

 

心の片隅では「それもまた人生経験だよね」という冷めた自分がいたが、今回は「それはちょっとないわ」という自分が勝った。

 

ということで、リア充の友達に相談してみた。

 

すると、「お前が幹事をするのなら、企画に手助けしても良いよ」という仏様のような答えが返ってきた。目の前に光明が差した。

 

それから数日後、僕のlineに一通のメッセージが来た。

 

女性からだ。「A(さっきの彼)から話はきいたよ!6:6でしたいんだけど、どう?あと、店とか日取りは全部任せていい?」みたいな内容だった。

 

文体はもっとギャルっぽかった。未知の生物との遭遇に等しい衝撃に、正直少し身震いがした。

 

そこから約1ヶ月、僕の闘い(大げさ)が始まった。

 

イケてる系のバイトの先輩に相談して、そういう会に良い店をリサーチ。

 

参加者は選りすぐりの、「コヤツは内面も外見も人としてもカッケー」と言える5人にお願いして、参加してもらった。

 

 

日時についても何度も相手方と打ち合わせして、いい感じに決定。集合時間、場所もバチっと決めて準備完了。

 

念のため、毎日「合コンhowto」みたいなサイトもチェック。進行について勉強する為、お笑い番組もいつもの倍は観た。涙ぐましい努力である。

 

そして、新しい服も1万円くらいかけて買った。うぶ過ぎて、本当に涙が出そうである。

 

健気な青年に女神は微笑むのだろうか。

 

そして当日。

 

集合時間20分前に、男性陣は集結していた。そしてその数分後、何やら遠くに華やかな集団が見える。そしてその集団が僕たちの輪に寄ってくる。おいおい、マジか。

 

僕の住む世界では、絶対に会うことの出来ないような華やかな女性達。

 

そんな異世界の生物ともいえる未知が、「おまたせー」なんて言いながら近づいてくる。

 

雰囲気だけなら高校の時に死ぬほどみたギャルと呼ばれるそれっぽかったが、ヤバくねともウケるとも言わない。どうしていいかわからねぇぜ!

 

が、僕が幹事である以上、キチンとエスコートせねばならんわけで。

 

「いや、今きたとこよ。とりあえず寒いから店はいろっか」とかなんとか、紳士さと優しさを出しつつ、店まで先導する。ボロが出ないかヒヤヒヤである。

 

店に入ったら、とりあえず席を決めて、さっさと着席した。ちなみに何故か机が2つあったので、↓みたいになった。

 

男机女 男机女

男机女 男机女

男机女 男机女

 

飲み物も自然に(多分)取って、会場の準備は整った。コース料理が来たので、取り分けてあげようとする。

 

と、「あ、ウチらがやるよ!」と奮起する女性陣。女性が料理を取り分けたがるとか、やべぇ。

 

サイトで読んだ通りだ。僕は「あざっす」とラフな感じで、感謝を述べた。

 

で、いよいよ乾杯。が、ここで戦慄の事態が。

 

「やっぱ幹事が乾杯するっしょー!」と、僕にさり気なく振る声があった。

 

それは僕の友達の男だったのだが、僕に花を持たせようという気持ちで言ってくれたのだと思う。

 

が、乾杯は正直言って予想外だった。てっきりテーブルごとに適当にすると思っていたからだ。

 

僕の知っている口上は、超固いものか、サークルで習った男臭さ全開のものしかない。

 

が、行くしかない!とりあえず立ち上がった僕。

 

「今日は集まってくれてありがとう!無礼講で楽しんでください!乾杯!」という月並みな口上でお茶を濁した。刺さる視線も、拍手の温かさも、いつもの数倍沁みた。

 

会は滞りなく進んだ。

 

テーブルごとに自己紹介して、お酒飲んで、料理食べて。趣味の話、将来の話、色々と話したと思う。

 

僕はいつも通りの感じで、聞くのに7割くらい徹したけど。周りの友人も楽しそうだ。

 

1時間後。

 

徐々にテーブルの陣形が崩れ始める。イケてる男に色々集中し始めたのだ。このイケてるは顔なのか話の面白さなのかは、色々ということで。

 

こうなれば、聞きに徹していた僕が頑張って話を振っても、時すでに遅し。気付けば6人の注目は、選ばれし3~4人に向けられていた。

 

ということで、ナチュラルにあぶれた僕は、同じくあぶれた仲間と一緒に、日本酒を飲みながら銘柄当てゲームに興じていた。

 

僕はこのステージに来るには早かったんだな・・・。と、捻くれそうな気持ちを必死に持ち直し、何とか教訓にまで昇華することができた。

 

今ではこのことをほめてやりたい。

 

更に1時間後。

 

全体の空気としては盛り上がって終わったと思う。僕は平常通りに戻っていたけど。飲んだはずのお酒が全く顔に出なかった。

 

女性陣が翌日学校だということで、二次会はナシという取り決めは前もってしていた。

ということで後は駅まで送るということになった。

 

すると、ペアになってよくわからん界隈に消えていく者もあれば、1人で2人の女性と連れ立ってあるく者もあった。

 

そんな別世界の住人を、僕とあぶれたもう一人は、目を細めてみていた。後日わかったことだが、そのもう一人には彼女がいたらしい。

 

・・・。

 

合コンという場は、押しなべて少しでもイケてる要素が自分になければ、不向きな舞台だ。

 

一概には言えないが、やはりこういう場に抵抗なく来れる人というのは、いわゆる人見知りを拗らせた人とは別世界に生きる人種だからだ。

 

世界が違えば、やはり波長もなかなか合わない。これは僕の実体験としての感想だ。

 

別に合コンという場を批判も否定もしないし、出会いに関して優れたツールであるのは認める。ただ僕には不向きだった、それだけ。

 

もちろん、この後の人生に活きることは何一つ無かったかと言われれば、そうでもない。

 

おかげで幹事としての経験も積めたし、店についても少し詳しくなった。段取りの仕方もわかったし、新しい服を買ったことでオシャレの楽しさもわかった。

 

本来の目的とは違うところで、非常に有意義な会であった。

 

人見知りを拗らせた人が、合コンに出会いを求めるのは、もしかするとリスクが高いかもしれない。

 

他の手を打てるのならば、僕はそっちの方が良いと思う。

 

とりあえず僕はもうしばらく、この出会いの形というリスクは取らない。今は彼女をつくる余裕などないってのもあるけど。

 

世間一般で有名な出会いの手段は、僕のような人種には押しなべて不向きであるっぽい。

 

そのことが分かった20代の頭であった。

恋愛心理学 (図解雑学) 恋愛心理学 (図解雑学)
斉藤 勇

ナツメ社
売り上げランキング : 209539

Amazonで詳しく見る by AZlink