会話のキャッチボールという言葉がある。
A「Bくんって、野球好きなの?」
B「うん、好きだよ!するのも観るのもね!」
A「え?じゃあ経験者だったの?」
B「何年かやってたよ。ポジションはピッチャーだったよー。」
A「すごいね!変化球とか投げれるん?」
といった具合に、ある人が話題を提供すれば、受け取った側は返事+新たな話題のタネを混ぜ込んで相手に返す。
これを繰り返していくというのが、僕が思う会話のキャッチボールである。
僕も元野球部なのでわかるが、相手からの話題を受け取り、返答しやすいように返すのを繰り返す感じは、なるほどキャッチボールっぽい。
上手いことを言う人がいたものだ。
だが、このキャッチボールという言葉をもっと広義に捉えれば、別に野球のそれに限った話ではなくなると思う。
要はボールを受け取れば、ボールをキャッチすることに変わりないので、それはもうキャッチボールである。
そして僕を含む人見知りの方がやりがちな”キャッチボール”は、押しなべて理想とされる先述のキャッチボールとは別物になっていることが多い。
今回は自戒の意味も込めて、人見知りがやりがちなキャッチボールを2つと、モデルケースとなるそれを1つ紹介する。
サッカーのゴールキーパー型
A「Nくんって野球好きなの?」
N「うん。」
・・・・
受け取ったボールは返さない。自身のプライベートなところというゴールは死守する。
まさにサッカーのゴールキーパーの如し。
これは僕が該当するタイプで、主に初対面の人、特に女子に対し、油断すると無意識に行ってしまう。
会話はもっと和気藹々としたものだが、僕は時たま変に身構えてしまうので、こういうVSの関係になることがしばしばである。
隙あらば会話は切る。さながら武士のような気迫である。
このタイプにとっては、相手からの会話のフリはシュートであり、受け取るこっちはキーパーである。
キーパーはボールを受け止められるなら止める。キャッチボールである。しかし、無理ならパンチングで弾く。
どのみち会話は強制的にエンド。仮にボールを受け取っても、VSの関係である以上、ボールは自分の味方に返す。
確かに、その場に僕の知人がたまたまいれば、彼に全部話を振ってしまってた気がする。
こう考えれば、僕は見事すぎるゴールキーパー型である。これは直した方が良い。頑張ろう。
ちなみに何故こうなってしまうのか考えてみたことがあるが、多分返し方のパターンのストックと、経験値の不足が原因だと思う。
白状すれば、別に会話続けたくないなー、という幼稚な我がままが、形を変えて表に出てしまっているのも考えられる。
ま、つまるところ僕は大人にならなければいけないのだろう。頑張るしかないね。
初心者におけるバレーのレシーブ型
レシーブは、雑に言えば受け取るという意味である。
つまり、バレーのレシーブも広義にはボールを受け取ると解釈でき、キャッチボールと言えると思う。乱暴だが、それはそれということで。
このタイプの会話のキャッチボールは、会話として崩壊していることが多い。
尚、僕はこれを通じて、バレーというスポーツを貶すつもりは全くないと言っておく。あくまでものの例えということで、今回はご了承願いたい。
閑話休題。この初心者におけるバレーのレシーブ型の会話はこうなる。
A「Bくんて野球するの?」
B「てか昨日のテレビ観た?」
という。解説しよう。
初心者は綺麗にレシーブするだけでも超高難度である。大抵、明後日の方向に飛んでいくし、威力を全く殺せずにキラーなパスになることもある。
場合によってはそもそもレシーブが空振りになることもある。なんというか、死屍累々である。
ということで、相手からのパスを完璧に明後日の方向に飛ばしたのが上記の例である。
言われた方も、なんか困るというか、非常にめんどくさくなってしまう。
ちなみに、空振り型は
B「へー」
というふわっとした返答が多く、キラーパス型は
B「ん?野球に関する面白い話でもあるの?」
という鬼のようなフリを返すことが多い。
こういうことしちゃってるわ!って自覚がある人は、早急に直した方が良いと思う。
僕はここまで酷くないと信じたい。信じてる。
ちなみにこれの原因もまた、返答方法のストック不足もあるだろうけど、何より会話に対する経験値の圧倒的不足が最たるものだと思う。
或いは他者の心とか空気を読むことが出来ないとか。
少し重症に突っ込んでいるこの段階への対処法としてオススメなのは、小説を読むことである。
小説を読めば、登場人物の会話や物語を介して、なんとなーく返し方もわかるし、この質問に対し相手が期待する答えみたいなのもわかるようになる。
これは僕の独りよがりな持論ではなく、色んな偉い人が本で書いてたので、効果が認められた方法であるとも付記しておく。
手前味噌ではあるが、オススメの小説を末尾に載せたので、参考にしていただけると有難し。
バスケットボールのパス型
最後にこれは、悪い例ではなく、極めてレベルが高い例である。
野球のキャッチボールは、基本的な練習であり、試合本番では呑気にそれをしてる暇はほとんどない。
せいぜい、ウォーミングアップ程度である。良い練習ではあるんだけど。
だが、バスケットボールにおけるキャッチボール、つまりパス回しは、試合本番でも多用されるし、そもそもこれがなければほぼ試合にならないと思う。
ワンマンのスーパープレーヤーが居ようとも、彼にボールが回らなければ無用の長物になってしまうように、パスは非常に大事だと思う。
バスケほとんどしたことないけどね。
僕のイメージだが、パスを回しながら相手の陣を攻め、チャンスであれば受け取った人がそのまま決めたり、
シュートと見せかけてもう一回パスを返すとかトリッキーなことをする辺り、野球のそれとは全く違うキャッチボールである。
野球でも一応、外野からの返球の中継など、似たようなことはあるが、割愛する。
ではこの、バスケットボールのパス型の会話のキャッチボールはどうなるか。
僕が昔見た例はこんなである。
A「中学校の頃、とあるヤツにいたずら仕掛けたんだよね。そいつを見るたびに、『あ、○○だ~』って指をさすようにしてたんだよ。」
B「なんでまたそんなことを・・。そりゃ気分良くないっしょ。」
A「うん。実際、なんだよお前~って感じで、煙たがられてたわ。ま、狙いがあったんだったけどね。」
B「狙い?」
A「うん、狙い。そんなことを1週間くらい続けた辺りで、そろそろ?と思ってさ。
そいつがトイレから出てきた瞬間を狙って、今度は指を指さず、グーを突き出してみたんだよ。」
B「グー?」
A「そうそう。すると、それをみたそいつが、開口一番。『お前指さすんじゃねぇー!』って怒ってさ。
いやいや、よく見てみ、俺指さしてないよ。グーだよこれ。って感じで、見事一本取れたんだよね。」
B「なんだその根気(笑)よーやるわ!」
思い出補正が掛かってるが、こんな感じである。この話聞いたことあるかも?って人は、多分僕の正体がわかる。ま、それはさておき。
多分Bは、Aが話し始めた時点で、「これはオチがあるな」と感づいたハズである。
それを受けてか、BはAがオチというゴールを決めるまで、どんどんと良いパスを出している。
Aもそれに応えてか、Bが聞く一方にならないように、ところどころ返し易いパスを繋ぐ。
そして間合いに入った頃合で、Bの絶妙なパスから、Aがシュートを決める、と。抽象的だが、すごくバスケっぽい。
そしてAとBがすごく仲が良く、面白いエピソードが共通しているなどの場合などは、もっとすごい技もある。
パスを繋ぎ、ゴール下辺りまで来て、さあシュートするぞ!とジャンプモーションに持ってったあたりでいきなりパスを出すという技である。
具体的に言えば、Aがどんどん話を進めていくが、最後の最後はBにオチを言うように持っていき、花をBに持たせるといった感じである。
これは強い信頼関係が無いとできない。とりあえず僕は、まだこの域には達していない。いつかはここに辿りつきたいものである。
終わりに
会話のキャッチボールは大事である。
だが自分がしてるキャッチボールが、本当に理想型のキャッチボールなのか?ということは、一度振り返ってみた方が良いのかもしれない。
「俺は返してるつもりが、パンチングで弾いてる・・・。」
とか。
「あちゃー、よく考えたらこれ、明後日の方向にレシーブしちゃってるわ」
とか。
僕も何か会話が多かった日には、寝る前に反省してみることもしばしばである。
「今日のは俺の独りよがりだったなぁ・・。ゴールを守っちゃったよ」とか考えながら、布団でゴロゴロするのである。
ちなみに今日は外出すらしていないので、ぐっすり眠れそうである。
とりあえず、楽しみにしている小説を読もうと思う。
親鸞、早く読み切りたいなぁ。
Receive You YURI, TOMICA MAKOTCH SEGA 売り上げランキング : 52819 Amazonで詳しく見る by AZlink |