今日は久方ぶりの更新にして、久方ぶりの書評もどきを書いてみようと思う。
というのも最近、僕が求めていたものがズバリ書かれた本を発見し、これはシェアした方が良いのでは?と思った為である。
それがこれ。
がんばることに疲れてしまったとき読む本 下園 壮太 PHP研究所 売り上げランキング : 209927 Amazonで詳しく見る by AZlink |
タイトルがシンプルにして無回転だが、内容は極めて実用的であった。
例えば、「前向きにいれば神様が助けてくれる」「悩むのは頑張りが足りないから」といった、言い換えれば自分を追いつめる系の言葉はほぼない。
むしろそれは危険だと言い切っている。
ついつい頑張り過ぎて自分を追い込むクセがある人は、一体どのように思考を変えていけばいいのか?
ということに絞って書かれてあり、正直そのケがある僕には大変ありがたかった。
とまぁ、駄文はここまでにして、特に僕が確かに!と感じたいくつかの点を抜粋して紹介していこうと思う。
著者について。
僕がまず一番に興味を引かれたのが、著者のプロフィールだ。
著者の下園壮太さんという人は、かつて自衛隊に属しており、メンタル教官という役職だったという。
簡単に言えば自衛隊というストレスフルな環境下において、任務にあたる隊員のメンタル面のケアをする教官のような感じらしい。
自衛隊はストレスフルな環境だということは薄々感付いていたが、その隊員をケアする役職があるとは知らなかった。
となれば、そこで長い間携わっていた人の話とあれば、相当有用なことが書いてあるハズだと直感し、気付けばAmazonでポチっていた、というワケである。
頑張ることの危険性。
日本人は頑張り屋さん気質だという。
国民性として気合とか根性論が大好きだという話は、僕は耳が酸っぱくなるほど聞いてきたし、人生の要所要所で押し付けられたりもしてきた。
この本では、推察ではあったがその理由も書いてあった。
農耕民族というルーツを持つ日本人は、頑張ればそれが認められて仲間に入れてもらうことができ、多くの人と協力することによって生存することができた。
逆に言えば、頑張らない人間などただの穀潰しであり、必然的に仲間から弾かれてしまう。
農業は、とてもじゃないが1人でできるものではない(田畑が流されたり、不作になったりすれば猶更である)。
となれば、僕らの祖先は長い時間をかけて、頑張らない≒死という考えを持つにいたり、それが今現在も残っているという。
要約しまくればこんな話だった。
しかし、農業以外にも多様な職業が出来た今、頑張ることだけを突き詰めることは非常に危険であるという。
連日連夜の徹夜勤務が美化されたり、休日出勤しないと人事に悪影響を及ぼしたり、人の目を気にして休みたいの一言が言えなかったり。
しかしこうやって人に努力する姿を見せ続けないと、日本人は不安でたまらなくなるレベルで刷り込まれているのだとか。
実際、これは僕も思い当たるフシがある。
結果、どうなるか。
当然、おびただしい疲労が溜まる。疲労が溜まればどうなるか。徐々に徐々に、うつ状態へとシフトしていくのだという。
この状態になればあとは悪循環の繰り返し。
例えば、『休んだ方がいいんじゃない?』というセリフが『休んだ方が良いってことは、俺は必要ないってことか・・。』などに変換される。
つまり、人からの思いやりの言葉が悪意を持って聞こえるようになり、よりうつ状態が深まっていくのだ。
こうなってしまえばメンタルがやられるまでまっしぐら。想像するだけで恐ろしい。
今回はさっくりした紹介に留めたが、本書にはここに至るまでの詳しいメカニズムなどが全て書かれている。
正直ここまでの経緯だけでも本にして良いのではというボリュームだった。
正しく頑張らない。
こういう頑張りすぎるタイプの人は、どうすれば良い方向に持っていけるのか。
それは、やはり行動と思考を変えることだという。
ネタバレになるので詳細は省くが、具体的には以下の方法が載っていた。
・今までの頑張りの3~7割で満足できるように意識する。
・計画して休みを取る。
・目標を逐一定める(漠然とした目標は大抵達成されず、自分に対する自信を失う結果に終わることが非常に多いためらしい)。
―もちろん、本には詳細な方法や、トレーニング方法、更には補助ツールも多数紹介されている。
僕も現在、今までの頑張りの3~7割で満足するよう意識したり、頑張りすぎているのでは?と時たま振り返るようにしたりと、改善に取り組んでいる最中である。
そしてびっくりすることに、全てが結構良い方向に働いていると感じている。
何というか、追い込み過ぎないことで逆に伸び伸び仕事ができて、最終的に結果がでちゃうとかそういう流れである。ハッキリ言ってとにかくすごい。
終わりに。
熱いメッセージが並べられた自己啓発本とはまた一線を画したこの本。
とにかく親身になって、僕みたいな気質の人に優しい文体で書かれている為、すっと頭に入ってくるのも、セールスポイントの一つである。
「最近疲れているなぁ」「人から頑張りすぎだとよく言われるなぁ」とかそういうことを考えて、正直悩んでいるという人に是非お勧めしたい本である。