完璧主義は本当に疲れる。求めるのもそうだし、求められるのもそう。
僕自身も数年前までは筋金入りの完璧主義者で、重箱の隅をつつくかのような修正を繰り返し、完璧を目指して色々な努力をしてきたものだ。
―では、今は?
実のところ、そういうのにほとほと疲れたのと、実はデメリット多くね?と気付いたのとで、僕は自分にめちゃ甘くなっている。
すると、だ。今の方が色々吸収できているし、継続出来ているし、つまり良いことのが多い。
そこで今日は、『完璧というゴールを捨て去ることの良い点』について、つらつらと論じてみたいと思う次第。
『完璧』の無意味さ。
まずはデメリットを色々と考えてみよう。
『完璧』とは良い言葉に見えて、実は色々面倒なリスクを抱えている。
ダイエットを例に取ろう。
『毎日1500kcalの摂取量に抑える!』と計画を立て、それを実行していたが、ふとしたはずみで、2000kcalくらい食べちゃったとしよう。
冷静に考えれば、翌日からまた普通に継続するとか、どっかで1000kcalの日を作るとか、運動量を増やすとかが正解だろう。
だがこういう時、一番取りがちな行動は、『もういいや!』と吹っ切れてダイエットを中断したり、暴飲暴食したり、そんなだという。
100%を目指す際の怖いところは、無理とわかった瞬間タガが外れやすいことにあると思う。
更に、完璧というのは人によってバラバラだ。自分にとっての完璧は、他者にとってもそうとは限らない。
必死になって作った資料にめちゃくちゃ修正を食らうなんてのは、その典型だろう。
信念があって100%を目指すならまだしも、ただ『完璧じゃないとダメ!』という義務教育マインドでそうしているだけなら、正直デメリットが勝る。
少しでも完璧主義な自分に嫌気がさしているなら、以下の事柄を知っておくことから始めよう。
完璧という言葉の真意について知っておくとよいこと2つ。
①意外と他者評価は甘い。
言葉遣いに気をつけろと何度言われたかわからない。敬語のまとめの本を買って、語学の勉強みたいにそれを学習したものだ。
だが、冷静に考えると、僕は『言葉遣いが悪い』と言われた経験はほっとんどない。
むしろ、丁寧と褒められたことの方がもしかしたら多いかもしれない。
指摘された経験や、注意された恐怖心から、『自分の言葉遣いはもっと高めなければ・・・』と強迫観念として思っていただけなのだろう。
実際、心理学のサイトやら研究やらを読んでみると、自己評価に比べて他者評価は押しなべて甘いものだという。
まぁそうだよな。世の中の人はそこまで自分以外の他者に興味はないものな。
ということで、世間的に必ずしも『完璧』は求められていないと知っておこう。
②ゆとりがある方が色々長続きする。
ゆとり時間の有無について比較実験した研究が多数あるらしい。以下、面白かった結果を2つ挙げるする。
・60分ぶっ続けで学習したグループと、15分学習→5分休憩グループでは、集中力の高さや作業量で後者の勝ち!
・計画を立てた後、それを"ぼかした"グループの方が、継続率大幅アップ!
(例)毎日1時間勉強 → 週に7時間勉強
気合と根性で長時間隙間なく頑張るとか、毎日きっちりとしたスケジュールは案外ナンセンスだとよくわかる話である。
―ということで、『完璧』の脆いところをひたすら並べてみた。見方が少し、変わっただろうか?
では続いて、具体的な完璧の止め方をまとめてみよう。
脱・完璧主義。
①目安は『70%』程度の出来。
主に『量』で計画を立てたときのお話。僕みたく完璧主義根性が染みついていると、なかなかに非現実的な目標を作りがちだ。
『今日は部屋全てを掃除するぜ!』『今日は割とゆとりがあるから、一週間分の仕事を終わらせるぜ!』とかそんな。
そういう時は、その思いを少し脇に追いやり、それの70%程度を遂行するのが体感として丁度いい。
部屋の全てではなく、ベッド周りとゴミ捨てだけにするとか。
一週間分じゃなく、2,3日分で良しとする、とか。
正直、70%の出来でも御の字だ。そしてそれに対し、決して『届かなかった・・』と考えないことがコツ。
『おお、意外と片付いた!』とだけ考えて、達成感を覚えるよう意識付けしよう。
②制限時間を作ろう。
パーキンソンの第一法則というのがある。内容はこんな感じ。
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
これを解釈しなおすと、『作業時間いっぱいまで、次から次にやることが見つかる』といえる。なんのこっちゃ。
例えば、何かの作成をしていて、まだ時間があるから・・・と、どうでもいい細かいこと、が異様に気になった経験はないだろうか。
僕はそれこそ大量にある。
ワードで作った資料の文字サイズとかレイアウトとか、夏休みの宿題で描いた絵のちまちましたところを延々と描き足したり・・とかとか。
まさに、完璧主義者が陥りがちな、『まだ足りない』シンキングである。
上記の法則についてだが、言い換えれば、『仕事の量は、与えられた時間で決まる』とも言える。
となれば、こっちで制限時間を決めればいい話だ。
人間の集中時間の限界は、ざっくり15~45分といわれている。それを超過すると、ゾーンに入っているとかじゃない限り、休憩が要る。
まずはその時間でタイマーを設定し、今まで大量に時間をかけていた作業に取り組んでみよう。
これまた経験則だが、案外その時間におさまるものだ。
よくわからない仔細に時間をかけがちな方は、是非とも試してみてほしい。
終わりに:それでもやはり完璧を目指したいのなら。
ここまで書いても、向上心に優れる方は、完璧を目指したいという気持ちがまだまだ燃えていることと思う。
となれば、少なくとも以下の2つを意識すると、それに近付けると僕は考えている。
①期限の1週間前に形にしておく。
大枠を作らねば、完璧もくそもないわけで。おススメは、期限のだいぶ前に仕上げておいて、1,2日それを寝かしておくこと。
ちょっと時間を空けて見返すと、色々な気づきが発見できて面白い。言葉遣いだったり、重複する表現にも気づきやすい。
②他者のフィードバックを積極的にもらう。
自分の主観で作った完璧は、世間になかなか合致しない。自己完結する趣味とかじゃない限りは、積極的にフィードバックをもらおう。
気を付けるべきは、その指摘箇所は決して『人格否定』じゃないんだよと意識しておくことだ。
ネガティブ程、善意のアドバイスを悪意の口撃に捉えがちなものだ。それをやっちゃうと、健全なものは出来上がらないし、心を病む。
それさえ気を付ければ、自分に無い視点を頂戴するのは、クオリティ向上に極めて大切な要素である。
―ということで、『完璧』を止めるメリットをつらつらと書いてみたわけだが。
いつぞやも書いた通り、疲れる思考や勝負所からは、早々にドロップする方が楽だと僕は考えている。
一人ひとりが持つリソースは限られている。どうでもいいものは削り、どうでもよくないものに投下するのはとても重要な考え方だ。
無意味な『完璧』に押しつぶされそうになっているのなら、いっそそれを止めてみるのもまた一手。
めんどくさがりな僕は、そう提唱したい。
これをもって〆とする。