僕はネガティブだけど、それなりに充実した人生を生きたいと思う。

「ネガティブ」で片づけず、自分の観察を続けたい。

【社会人ドロップアウト→現在編】失敗は、学びである。~これまでの人生の失敗や挫折を、学びに変えて清算したい。~

振り返れば結構な長文になった。だけどやはり、人生のこの辺は、思い出すと本気で辛い気持ちになってしまう。

 

だからこそ、皆様にとって価値ある情報が含まれているのでは?と、無理やり気持ちを前向きに、頑張って思い出し、なるべく言葉にしてみた。

 

前回ほどではないが、今回も決して明るい話ではない。結論で少しだけ、希望が見えるかな程度である。

 

さてさて。全4記事になってしまったが、これがラストである。以下、続き、良ければもう少しだけお付き合いくださいませ。

 

 

 

ドロップアウト時代:『自分には価値がない』と思い続けるしかなかった日々。

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仕事を辞めてやった後も、賃貸の契約が切れるまでは、前職の社宅に住んでいた。

 

とはいえ、生きるのに必要な最低限のこと以外でやっていたのは、ただ横になって天井を眺めることだけである。

 

時たま『洒落にならない怖い話』といった、読みごたえがあり、時間を潰せるものに没頭した。思い出せる行動は、それくらいだ。

 

その社宅を出てからは、とりあえず実家に帰った。何かする気になるまで、僕は徹底的に何もしないと決めた上で。

 

起きて、飯を食べて、タバコを吸って。金も稼がなければ、何の勉強もしない僕。

 

両親からはひたすらに『公務員』を薦められた。確かに、時間はあるし、きちんと対策をして勉強すれば、試験も戦えるとは思ったが・・。

 

働くことはおろか、働くことにつながる努力さえ、する気にはならなかった。生返事をした僕は、再び部屋で横になる。

 

あーあ、クズだな、クズだよなぁ、俺は。何も生まず、何も稼がず、両親に心配をかけるだけのクズ。

 

諦めの感情だけが脳内を支配する。このままではマズいという状態はわかっていたが、そこから抜け出すため、何をするでもなく。

 

そんな生活を半年ほど続けたあたりで、なけなしの貯金が無くなった。交友費等まで、流石に親には、たかれない。

 

仕方がないので、日雇い労働の会社に登録し、日銭を稼ぐことにした。日雇いにした理由は、毎回人間関係がリセットされた方が楽だと思ったから。

 

倉庫の整理。イベント会場の設営。工事現場の搬送手伝い。あまりにも厳しい労働の割に、得られる給料は些細なものだった。

 

だが、文句は言えない。理不尽な指令や怒りを受けながら、僕は働いた。心を無にすることは、もはや得意技である。

 

とりあえずのお金を稼いだ辺りで、全く自分に合わない『肉体労働』からはさっさと足を洗った。

 

「楽しくない。ただキツいだけ。でも、一度社会から脱落して、とりわけスキルもない自分は・・したくないことでもするしかないのかな。」

 

夏の夜、実家の庭でタバコを吸いながら、僕はそう考えていた。その時はもう、自分という人間に『価値』が無いとしか思えていない。

 

―だが、そこでふとある思いが湧いた。

 

「いや、流石に『したくないことをしない』努力はしよう。仕事を選ぶくらいのワガママは通させてもらおう」

 

久しぶりに少しやる気が出た。僕はそのままAmazonで、公務員試験の参考書一式を注文し、届いた日からそれに打ち込み始めた。

 

一問解くごとに、階段を一段上がるようなイメージが浮かぶ。どん底から少しずつ抜け出る、そんな感覚。

 

ミクロ経済やマクロ経済、民法や刑法、数的処理や判断推理。一体自分は何の知識を入れているのかたまに疑問に思ったが・・。

 

頑張れるものが見つかったときから、ハッキリと自分が生き生きしているのを感じた。僕という人間は、やはり頑張るのが好きなのか。

 

さて。そうして勉強に打ち込んでいた僕だが、その年の秋に再び貯金が底をついた。仕方がないので、またアルバイトを探す。

 

肉体労働はほとほと嫌気がさしていたので、他の道を探した。自分が得意なことで、かつ人のためになることって何だろうな。

 

考えた結果、以前から少し興味があった『塾講師』という仕事に辿り着いた。

 

たまたま、それに対するツテもある。大学で得た繋がりなので、地元から出る必要があるが・・。そんなことはどうでもいい。

 

僕は知人を頼り、取次ぎをお願いした。するとすぐに直接連絡が来て、そこに履歴書を送るように言われる。段取りの速さに、結構焦った。

 

あれよあれよと面接の日取りが決まり、僕は久しぶりにスーツを着て、そこへと向かう。

 

面接はものの数分で終わり、即座に採用が決まった。―もちろん、その当時は公務員試験を受けるまでのツナギと考えてるなんてのは、完全に伏せたけど。

 

僕はなんだかんだで、再び社会に復帰することになった。初出社の日は、前職での苦い記憶が蘇ったものの・・・。それはその一瞬の話。

 

まずは再び下っ端として経験を積むところからだ。校舎の清掃、事務作業、そして授業の見学。

 

大学を出て2年経っていたが、一度プライドを木っ端みじんに砕かれたおかげか、変なプ自信や見栄が邪魔する・・なんてことは無かった。

 

始めのうちは、色んな生徒に不審な目でみられたものだ。それさえも、どこか微笑ましく思いながら受け止めていた。

 

僕は社会と、人と、再び繋がりを持てたことが嬉しかったのだろう。今振り返れば、そんな気がする。

 

―次第に、生徒から勉強の質問が来たり、自分が授業を担当したりする場面が増えた。しょうもない身の上話をしたりされたり、なんてのも増えた。

 

自分が得意なことで誰かに貢献する。そして、喜んでもらう。そんな体験を僕は再び積み始めた。

 

僕が仕事を探すときに掲げたテーマ。『人々の生活に身近な場所において、みんなに貢献できる仕事』。

 

僕にとっての『塾講師』は、まさにこの定義に当てはまる仕事そのものだと気付いた。だが、公務員という目標も、僕にはある。

 

久しぶりに悩んだ。悩みに悩んだ。これは自分で結論を出さねばならないと、親にも友達にも、職場の人にも相談せず、考え続けた。

 

そして出た結論。僕は、『塾講師』になると決めた。

 

いくらでも理由は挙げられるが、どれも正解だし、どれもしっくりこない。

 

ただ、前職で感じた辛さや違和感を覚えることなく、僕は充実して仕事ができているので、結局は自分に合っていただけという話なのでは、と思うのだが。

 

その後僕は会社にその旨を伝え、契約更新のタイミングで正社員へ昇格となった。正式に、僕は再び社会へと戻ってこれたんだ。

 

それが決まった日、「俺は公務員を止めて、今の会社で正社員になるよ」と父親に電話で告げた。

 

そのときに何を言われたかはうろ覚えなのだが・・・。少し寂しそうなトーンの声と、お前の好きなことで頑張れという言葉は鮮明に記憶している。

 

電話を切ったあと、熱いものがこみあげてきた。そして何故かそのとき、両親の想いを悟った。

 

きっと両親は、僕に公務員になって、地元に帰ってきてほしかったのだろう。そういえば僕は、18歳からずっと親元を離れてるんだっけか。

 

申し訳なさも少し覚えたが、僕はこの仕事を選ぶと決めたし、そう告げたのだ。その手前、今更それを曲げるのは本末転倒である。

 

―最近、父親が還暦を迎えた。元気なうちに立派になった姿を見せて、この選択が良かったことを証明したい。

 

今は強くそう思っている。

 

現在、そしてこれから:曲がりなりにも生きてる今、素直に思うコトとは。

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 ―こうして自分の人生を時系列で振り返ってみると・・、途中で人生を諦めないでいてくれてありがとうと、感謝の気持ちがこみ上げてくる

 

途中で心を完全に壊し、自ら命を絶っていてもおかしくないような気さえしてくる。それくらい僕の考え方は不健康だ。

 

読み返すと分かるのだが、僕は『自分』を信じているわけでも、かといって『他の誰か』を信じているわけでもなかった

 

いわばそのネガティブを原動力に、ここまでダマしダマしやってきたという感覚。誰よりも不完全なら、完全を目指して頑張ればいい。努力すればいい。

 

・・・しかし、いよいよ、それでは太刀打ちが出来ない人生のステージに差し掛かったようだ。努力でも才能でも、打ち破れない壁。

 

自分を大切にしようという考えは、重々承知だ。どうすれば自信をつけられるかなど、何百回考えたか分からない。

 

だが、どう考えても、思考が袋小路にはまり込む。

 

【必ず自分より上の人間がいるのだから、競争では幸せになれない。でも、自分を高めることを放棄した人生を選ぶのも、心の底から嫌だ。】

 

どうすればいい?僕は一体どの方向に向かって走ればいいのだろう?

 

―そんな矛盾だらけの悩みを抱えていた頃、僕はある本に出会った。

 

それがこれ。『ゼロ』

 

話題になったのは結構前だが、不思議と最近無性に読みたくなった。寝る前の時間を使い、最初から読み返してみたところ・・・

 

『仲間』

 

という言葉が繰り返し出てくることに気付く。そして同時に、はっと目覚めるような衝撃を覚えた。自分に欠けていたものが、ハッキリと分かったのだ。

 

僕は誰かに、そして社会に認められるためには、競争で勝つこと、たゆまない努力を続けることが必須だと考えていた。

 

だが、競争というステージではいずれ必ず敗者になること、そして努力だけではクリアできない問題があることに苛立ちと無常さを、同時に感じていた。

 

自尊心をガリガリと削りながら、求められる自分を目指して頑張り続けた日々。それは幸せとは真逆だと悩んでいたが・・そんなの当然だったのだ。

 

原因は僕の考え方にあった。『今の自分には価値がない』という意識。それを美徳と捉える価値観。『他者は僕より上にいる』という卑下。

 

そこがもう・・違うのだ。僕は一体、誰と戦い、誰の顔色を疑い、誰を恐れ、自分を殺してきたんだろう?

 

周りの人は『敵』。極論、今までの人生を振り返り、無意識にそう思っていたことは否定しきれない。たとえ辞書通りの定義とは違っていても、だ。

 

そこで試しに、『僕の周りにいる人は味方なんだ』という前提で考えを巡らしてみた。

 

すると―自分が抱える悩みの全てが氷解していく感覚が強く感じられる。僕の中のかき消せない悩みの元凶を・・遂につかめたという実感がある。

 

『嫌われたらどうしよう』という思いは、『心の底から仲間だと思う人』には抱かない感情だ。親友との集まりで、こう思うことは無いように。

 

実際に誰かから嫌われようと、それはそれで仕方がないことらしい。どんなに人間ができた人でも、10人いれば1人には嫌われてしまうという。

 

その1人に焦点を合わせ、くよくよと悩むなんてバカげてる。僕とつるんでくれる可能性のある9人と向き合う方が、確実に正解だろう。

 

ーああ、これだ。これが欲しかったんだ。僕が欲しかったのは『自信』でも『才能』でも『能力』でもない。

 

最後の最後に心の支えになる『仲間』だったんだ。自分には『仲間がいる』という感覚。

 

その考え方が無かったから僕は・・ここまで30年近くも独りで悪戦苦闘し、心をすり減らしてきたのだろう。後悔の念が、濃霧のごとく脳裏に立ち込めてくる。

 

これからは意識して考えを変えよう。弱みは晒す。できないことはできないと言う。でも、自分が力になれることは積極的に力を貸す。

 

成功した仲間がいれば、心の底から祝福しよう。自分以外の誰かを祝うことは、決して敗北ではないのだ。

 

こんなシンプルな答え・・正直、もっと早くに気付きたかった。だけど、気づかないまま生き続けるよりかは、比べ物にならないくらいマシだ。

 

―そういえば、『嫌われる勇気』にも、『幸福とは貢献感』という記述があった。僕が求めていた答えは、実はあちこちで示されていたんだな。

 

だが、示されたものが『答え』と気付くためには、しっかりと『問題』と向き合う必要がある。

 

問題が無ければ、どんな長文を読んでも、どこが解答のポイントなのか分からないのに似ている。だが逆に、問題が分かれば答えを探すのは楽だ。

 

それを考えると、僕の長きにわたるネガティブも、決して無駄じゃなかったのかな。

 

さて。

 

僕のここまでの『失敗』や『挫折』を振り返った結果、出た答えが『もっと他者を信頼しよう、社会に貢献しよう』とは驚きだ。

 

だがこの上なくしっくりくる感覚なので、少なくとも間違ってはいないのだろう。

 

みんな仲間と考えれば、競争は不要。敗者もない。猜疑心も要らない。力が足りないなら手を組めばいい。

 

全ての悩みが論破されていく。特効薬、あるもんだな。

 

―もちろん、答えに気付いたからと言って、僕の性格をガラリと利他主義者に変えるなんてことは無理だろう。

 

でも、そこを目指して日々自分を顧みることができる。しばらくはそれで十分だ。遅くなりすぎる前に気付けて本当に良かった。

 

・・・ということで、シリーズでいうと4記事。文字数は何と22000字程度にまで膨れ上がってしまった。

 

だが、産まれてから今までの日々は、1日あたり2文字くらいなんだと思うと、ちょっと足りないような気さえする。まぁ、そんなもんか。

 

さて。ここに書いてきた通り、特に20代前半において、僕は結構あらゆる人・組織・価値観からけちょんけちょんにされる人生を送ってきている。

 

ぶっちゃけ、『あー、今の自分の方がマシだわ!』と、読んでくれた皆さんが思ってくれるだけでも、3時間以上にわたりキーボードを叩いた甲斐がある。

 

最後になるが、人生を振り返ってみるのはとても有意義な時間だった。あの時の絶望も、今なら違う解釈で見つめなおせる。糧にできる。

 

ここまで密に振り返る必要は別にないが、ゆっくり時間が取れるときなど、つらつらと己の人生を思い返してみてはいかがだろうか。

 

では、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

※ここまでのシリーズはこちら!

hitomishiriteki-jinseikun.hatenablog.com

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