発売は結構前なのだが、最近『がさつ力』という本を再読した。
千原せいじ氏による著書で、アフリカ等の人たちと現地の言葉を使うことなく一瞬で打ち解ける、あの驚異のコミュ力の秘訣を、『がさつ』と称してまとめた一冊である。
言葉もカタくないのでとても読みやすいが、そこから『具体的』な行動を読み取り実践するのは、一読しただけだと少々難しい。
だから今回は『よっしゃ、ブログに書いたるぞ!』という意識を持ち、密に読み直してみた次第である。
ということでどんな内容なのか、そしてどんな学びをここから得られるのか、久しぶりの読書感想文を書いてみようと思う。では以下続き。
『がさつ力』を駆使したコミュニケーションとは?
『がさつ力』とは天賦のモノのようにも感じられるが、そのコミュニケーション術と理由はすごく合理的であった。
まず、『すごくどうでもよくて、かつ答えやすい質問を相手に振る』というのがあった。例えば、『オッサン、何しとんの?』という具合。
そしてその質問に対する最初の反応(大抵は警戒)は、意図的に無視するのだという。
これはいわば反射であり、生物の本能としてそれが先に立つのは当然だかららしい。
つまり、そこに一喜一憂するのは素人なのだ。
確かになぁ、と。僕は勇気を出して話しかけても、最初の反応のほとんどが渋く、色んなものを挫かれた思い出がいくつもあるが・・・。
そんな反応は当然なんだから無視とは潔い。そして勝負は二回目のやり取りから、という持論に繋がっていく。そこからのコツは、箇条書きでご紹介。
① 言葉以外の方法もフルで使う(ジェスチャーなど)
② 熟考の返しより、相手に"乗っかり"即レスをする
例)褒められたら素直に大げさに喜ぶ、等
③ 自己満足の気遣いはNG。『不快にさせない』という最低ラインだけ守ればいい
→変に気を使いすぎるとやり取りが進まない
というものだった。『自分が興味を持つものを全て追いかけたいから、いちいち時間などかけてられない』という主張もあったが、まさにそれを体現する方法である。
『がさつ』だろうと守らねばならないラインとは?
とはいえ、著者はきちんと、『考えもなく、人のことも考えず、がむしゃらに行動するのはバカ』みたいな風にも言っている。
まず、全力で楽しむに当たっても、自分が責任を負いつつも、失敗のダメージを抑えるべく『リスクヘッジ』をするべしと、後半で繰り返し書かれていた。
例えば、海外に行くのなら、その国のマナーやタブー、宗教は事前に調査を必ず行うという具合。
そしてそれ絡みで、わからないことがあったら全部聞けというアドバイスもあった。頭で考えるより、さっさとプロの意見や情報を得て修正した方が早い!という旨だった。
僕らはここで、『相手の迷惑になったらどうしようマインド』が発動して尻込みしてしまうのだが、このウジウジさにも明快な答えがあった。
それは、
『仮にそれで嫌われても、人生レベルでどんな影響があるのか?自分のことを好きなヤツもおれば嫌いなヤツもおる。
それが当然なんだから、そこを考えても無駄』というものだった。うーむ、これはがさつに見えて結構力強く、むしろ真理を言い得ている気がする。
『がさつ力』とは生まれ持った性格を気まぐれに使っているだけに聞こえてしまうが、その裏には意外と深い思慮が隠れていると分かった。うーむ、良い話だ。
僕に響いた『がさつ力』フレーズたちを列挙。
他にも、この世をストレスなく生きるために『がさつ力』を発動させることについて、いくつか具体的な記載があった。
例えば、『できんことはできん』と素直に言う。無理に背負わない。自己犠牲のヒーローは要らない!というのもそれ。(ちなみに僕も同感である)
尚、『できんことを無理に背負うと、色々と停滞する。できんことは他の人に頼んで、別のできる仕事を受けた方が、全体の成果が増すでしょ』という理屈だった。深い。
あと、グサリ!と僕の胸に刺さったのは、『"優しい"と言われて喜ぶのはバカ』というもの。まさに僕のことじゃないか。
曰く、『優しいという具体性のない褒め言葉は、半分以上舐められているのと同じ』という理屈であった。多少の『毒』が無ければ、深い付き合いはできない、とも。
何というか、『そうみられているのか!』と気付かされ、浅すぎる気遣いはマジで誰の得にもならないのだなぁと、結構今、打ちひしがれている。
対極の思考ではあるが、同類とばかりつるんでいては絶対に知ることのないことである。ウーム、貴重な意見ということで、前向きに考えるとしよう・・・。
終わりに。 ―僕らも使おう『がさつ力』
ということで、本の紹介はこの辺にしておく。文字数の関係で大きく割愛した部分も非常に面白く、また勉強になった。(そもそも文体やエピソードが笑えてしまう)
だが最後に、人見知りだろうがネガティブだろうが関係なく、意識して実践したい『マインドセット』についてご紹介する。
それは、『変化できるものこそが勝ち』というものだ。
そのコツとして、『頭で考えるのにも限界があるから、最低限のリスクヘッジを済ませたらまずはやってみること』というのが挙げられている。
闇雲にバカになって突っ込め!とは言っていないのがミソだ。そして得た『経験』を使い、次の行動を修整し、改善する。これが『変化』のコツだという。
つまり、『未来の行動をより良く変える材料である経験を、最速で手に入れろ!』という話なのだ。
そしてその原動力は、『夢』なんてキラキラしたものじゃなく、『欲』や『興味』の方が強いともあった。これまたその通りではなかろうか。
そして『経験』を重ねる中で考えたいのが、『なんだ、死なねぇじゃん』という変な自信だとも書かれている。
これはまさに、ネガティブの得意技・『最悪マネジメント』ではないか!!まさかここで対極の価値観がつながるとは。
そうして『がさつ力』を高めれば、臆することなくアクションに踏み出せるようになり、それに比例し『経験値』も大量に得られるようになる。
それを繰り返して、質の高い『変化』を何度も何度も重ねれば、人生がよりオモロくなる!
―というところまでさすがに断言はされていなかったが、そんなメタを僕は感じた。合ってるか合ってないかは、わからないしどうでもいいけど。
ということでタイトルも中身も一見非常に軽いが、僕らみたいなタイプにも学びとなるヒントが数多く散りばめられている。
このまだまだ長引きそうな自粛ムードにおいて、是非読まれてみてはいかがだろうか。
では今日はこの辺で。