人見知りである僕は、相変わらず『べしゃり』に難儀している。形式ばった説明は仕事柄得意なのだが、これは大抵の人にとっては大あくびモノだ。
『お前ってその場のノリってのが苦手よね』というのは、幼馴染から何度も言われたセリフだ。それもまた愛嬌ってことで許してつかぁさい。
―そんなワケで僕は、そこで周りを興ざめさせてしまうからという後ろめたさと、単に『好き』だからというのを理由に、"あること"には力を入れてきた。
それは、『サプライズ』である。特に、相手が無茶苦茶喜ぶためには、どう『贈り物』をすればいいかには、結構心を砕いてきた。
しかも、贈り物とはじっくり時間を掛けて考えられるうえ、あっさーい会話とは比較にならないほどのポイントを得られる、人見知りにとっては唯一無二のチャンスなのだ!
そこで今日は、『会話がはずまなぁい』とお悩みの人見知り同志に向けて、一発逆転の『贈り物』について、知っとくと良いことをまとめたいと思う。
わかってない人『贈り物?んなもん高い物をあげときゃいいんだろ!?』
まずは最悪の贈り物の考え方から。不思議と、【贈り物】とは高い物をペッとあげればいいんだろ?という財力偏重思考をする方は多い。
ハッキリ言うが、どんな高価なモノだろうが、不要なもの、魅力が無いものは相手にとってなにも嬉しいことはない。良くて、売られて現金にされるのがオチでは?
実際僕も、ただ高価なだけのものを、まるで犬にジャーキーをあげるかのような雑さで渡されても、『金持ちの嫌味かよ』としか思わない気がする。
まずは『値段』≠『相手の喜び』という冷厳だけど当然な公式は、しっかりと認識しておこう。
―だが逆に、相手にとって魅力的、つまり感動さえ与えられていれば、贈り物そのものの【値段】はすごくどうでもいい、という話になる。
実際僕も、こないだ生徒から誕生日にかこつけてお手紙を頂いた。カネに直せばルーズリーフ一枚と少々のインク程度の代金だ。
だが、泣くギリまで色々昂ってしまった。
つまり、感動と値段は全くの別物なのだ。 それを踏まえて、僕が贈り物をする際に意識していることを、より詳細に書いていこう。
『贈り物』のキモは、如何に『価値』を載せるかだ!
僕が思うに、相手が喜ぶ贈り物とは、そこに『多くの価値』が乗っているモノだ。
この価値は、値段とはまた別の話で、広い意味で言えば『多くの使い道』だ。
正直定義など解釈次第でいくらでも膨らむが、僕はすごくざっくりと、以下の4通りに分類できると考えている。
①経験 ②記念 ③ネタ ④希少性
共通点は、何だかんだで『感動』が含まれること、及び『人に話す際の材料になる』ことである。
そしてこれら4通りの『価値』を、いくつ、どれほどの強さで乗せられるかが、送る側の腕の見せ所である。
ってことで、ぶっちゃけ恥ずかしいけど、どういうことか語っていく。
①経験
例えば、海外旅行に行った際、その国で非常に美味しい料理があったとする。美味いがゆえに、是非とも友達にオススメしたい、そんなヤツ。
僕は特に他意もなく、海外に居るときは『台湾のシュウマイ、マジうめぇ!』というどうでもいいLINEをよく友達に送る。
すると、多分そこまで感じてないだろうけど、『いいな~』っていうリプが来るものだ。
ここがチャンス。
僕がその友達に台湾のシュウマイをお土産で買って帰れば、その友達は『台湾の味』を家に居ながら楽しむことができる。
―言い換えれば、疑似体験ではあるが、友達はお土産を通じて『台湾の味はこんななんだ』という経験値を得られたという話である。実はこの『価値』は、結構デカい。
友達の器のデカさ次第だが、そいつは今後どこでどんなシュウマイを食っても、『台湾のと比べて・・』というセリフを、説得力を持って吐けるのだ。
つまり、『お土産』で『得た経験値』を、『また別の会話のネタ』として使えるのだ。ここまで多様な『使い道』を乗せられれば、最強のギフトとなる。
経験のシェアは難しく見えて、全然そうでもない。自分が体験して、良いと思ったものを持って帰れば良いだけだからだ。
そして、別に食べ物限定でなくてもいい。例えばその地で使ったアメニティが良ければ、それを買って帰ればいい。値段も安くて構わない。
経験。この言葉が持つ価値は、是非一度じっくり考えてみてほしい。
②記念
二番目に書いたが、実はこれが一番初心者?向け。最近のSNSは便利なもので、頼んでもないのに友人の誕生日を教えてくれる。
これはその人にとって、何だかんだ言っても特別な日。その日に『おっ、おめでとさん!』と贈り物をあげると、テンプレとはいえ結構喜ばれる。
別に記念日は誕生日オンリーではない。結婚記念日、告白成就日、名目は何でもいい。
特別と感じられる日があるのなら、携帯のカレンダーか何かに残しておいて、その日を忘れないよう備えておくのはいかがだろうか?
③ネタ
ここは一番僕が好きなジャンルである。要するに、『ふざけんなwww』みたいなツッコミを、相手に言わせたら勝ち、というプレゼントだ。
もちろん、これはクソみたいなものをあげろという意味ではない。それはシンプルに不要物。相手にマジで『ふざけんなよ・・』と言われて終わる。
さて。
この『ネタ』という定義は非常にあいまいだが、僕は以下の条件を満たせばそうなると考えている。
1 ツッコミを入れやすい
2 面白話として人に話しやすい
どういうことか?
例えば、『ドリアン』とかが最たる例だと思う。
あれは、美味いのは美味いのかもしれないが、僕が食ったのは全て『都市ガス』か『ニンニク入りバニラソフト』の味がした。
だが、これはネタとして満点だと思う。
友達にあげると、『うぇっ、くっせwww』という風に味で喜ばれたことは無いが、『ネタを得た!』という点では喜ばれまくったからだ。
『ドリアンは都市ガスのニオイがするらしいよ!』という人と、『ドリアンはマジで都市ガス味や!』という人の発言の重みは違う。
この差は意識を置きたいところだ。
またそれは、ヘンなアイテムも同じである。例えば、用途完全不明の部族のお面とか、お肌つやつやになるという不思議なオイルとか・・・。
ネタもまた価値だ。ここはクリエティビティを発動して、考え抜きたいテーマである。
④希少性
今やAmazonにアクセスしさえすればなんでも買えそうな雰囲気だが、そんなことなど無いのは自明。
例えば『広島の宮島で拾ったキレイ目な牡蠣の殻』とかは、全くもって売り物にならない。だから通販でも変えないし、渡しても喜ばれない。
―だが、こちらの語り方次第では、途端にそれは大化けする。
ある砂が非常にきれいな海岸があったとしよう。そこはその景色こそがウリなので、砂には本来価値が無いはずだ。
だが、写真か何かでそこの景観を紹介した後で、『これがそこの砂なんすよ』と言えば、話はだいぶ変わるだろう。『希少性』とはそういうことである。
甲子園の土も、そこで集めて持って帰るから特別なのだ。成分分析をすれば、申し訳ないが本気でただの『土』である。
博物館に展示されているアイテムは、使った人が特別だから価値を持っていることが大半である。
自分のプレゼン次第でそれができないか、試しに今夏挑んでみてはどうだろう?
―ちなみに、どうしても『希少性』がピンとこなければ、それを割と簡単にクリアする方法があるので、参考がてらお伝えしよう。
それは、その商品の相場ではあり得ない額のそれを買う。こんだけだ。
例えば、缶詰の相場は1缶80~200円ってとこではないだろうか。
だが僕は、酔った勢いで1缶1000円のそれをこないだ買ってしまった。これに手を出す人は稀。ゆえに、勝手に希少性が生まれている。↓
これはまだ食ってないが、友達の誕生日プレゼントにあげようと考えている。『1000円の缶詰がどんな味か』という経験値も一緒にあげられる、超お得仕様だ。
また、頑張れば100円で3つ買えるニンニクも、ふと思い切って1つ300円のヤツを買ってみたことがある。
これを料理に使ったら、美味いのなんの。身はギッシリで、味もしっかりしてて、でも臭みは強くない。
プライスレスな経験値も得られたので、非常にコスパに優れた買い物だったと思いマス。
どうしてもイメージしづらければ、試してみてほしいと思いヤス。
実録:僕が友達にあげて響いたヤツ。
はい。最後は超手前味噌ですが、僕が昔に実践して『喜びが特に強かったヤツ』について書いてみます。
それは、某東南アジアの国で買ったとある装飾品。これは男の友人に頼まれて買ったヤツで、値段は大体7000円だった。
僕はこれを帰国後すぐに渡す・・なんてことはせず、敢えて寝かせた。そして、もともと予定されていたそいつの結婚式の二次会で、ふと思い出したように渡したのだ。
『なにこれー?キレー!』『どうやって使うん?』『え、どこの国のお土産ー?』
と言った風に、その場の空気が盛り上がったのが印象的であった。これは上記の要素の内、多分『ネタ』以外の全てを満たしている。我ながら良い贈り物であった。
―このことを考えると、贈り物の価値をバシバシ高めるのは、やはり『気持ち』と『工夫』だと思わされる。皆さんも思い当たるところはないだろうか。
終わりに。
ってことで、会話でポイントを稼げない人見知りなりに世を渡っていくための、ヒントめいたことをワーッと書いてみた。
ぶっちゃけここまで打算的に毎度毎度考えているわけではないが、工夫もなしに贈り物を渡すほど能天気でもない。
今は形はどうあれ、人を喜ばせる気持ちが強く、同時にそれを日常的に実践できる人が勝てる世の中なのだ。
そう考えたら、『偽善じゃー!』という反射的なの以外の感想も浮かんでは来ないだろうか。
では今日はこの辺で。